みなさま、こんにちは。管理栄養士の岡田です。皆さんは、日頃から鉄分を積極的に摂取していますか?
厚生労働省は「日本人の食事摂取基準」の中で、1日の鉄分摂取の推奨量は、月経中ではない女性の場合、18~29歳は6.0mg、30~69歳は6.5mgと制定しています。
妊娠中はさらに、初期では2.5mg、中期以降では15.0mg多く摂取することを勧められています。

なぜ、妊娠中には、より多くの鉄分が必要となるかご存知ですか?
それは「妊婦貧血」という言葉があるほど、妊娠中の鉄分不足が原因の1つとなる貧血のリスクが高まるからです。

その理由は、妊娠中は、胎児に必要な栄養と酸素を運んだり、どんどん大きくなる子宮全体にしっかりと血液を行き渡らせるようにするため、母体の体を巡る血液の量が増えます。しかし、血液中の赤血球の増加量は充分ではなく、血液の濃度が薄くなります。
赤血球の数が少ないと、全身に酸素を運ぶ役割を担っている赤血球の色素(ヘモグロビン)の量も少なくなるため、母体の全身に充分な量の酸素が届かず、貧血を発症するのです。それを防ぐために、母体はヘモグロビンの材料となる鉄分をより多く必要とします。

また鉄分は、胎盤や胎児の脳の成長に重要な栄養素として、母体よりも胎児に優先的に届けられます。このことも、鉄分が不足し妊婦貧血になる理由です。

<鉄分を多く含む食材>

動物性食品 ⇒ レバー(豚、鶏、牛)、牛タン、あさり、いわし、卵黄など
植物性食品 ⇒ 大豆、小松菜、ほうれん草など

しかし、鉄分が豊富な食材をたくさん食べていても、無駄になってしまうことも少なくありません。その原因の1つは、鉄分の吸収率の低さです。卵以外の動物性食品由来の鉄分は、摂取した内の5~10%、卵と植物性食品由来のものは2~5%しか吸収されないのです。

鉄分の吸収を助ける食材

鉄分の吸収率を上げるには、鉄分が体に吸収されるのを助ける栄養素を鉄分と組み合わせて食べると良いでしょう。

◆ビタミンC (パプリカ、レモン、アセロラ、じゃが芋など)
鉄分の構造を、体に吸収されやすい形に変えます。
鉄分との組合せ料理例:ゆで卵入りポテトサラダ

◆クエン酸(梅干し、柑橘類など)、リンゴ酸(りんご、ぶどう、梨など)
鉄分などのミネラルを包み込んで、吸収されやすくする作用があります。
鉄分との組合せ料理例:いわしの梅干煮

◆酸味(酢、レモンなど)、香辛料(カレー粉、胡椒など)
胃が刺激され、胃酸の出が良くなるため、鉄分の吸収が良くなります。
鉄分との組合せ料理例:牛タン塩焼き(レモン汁をつけて)

◆動物性たんぱく質(肉、魚、乳など)
鉄分と結合して、吸収されやすくします。
鉄分との組合せ料理例:ほうれん草のおかか和え

鉄分の吸収の邪魔をする食材

◆タンニン(緑茶、煎茶など)
タンニンと結合した鉄分は、体に吸収されなくなります。
食事中や食事直後の飲み物はタンニンを含まない水や麦茶、含有量が少ないほうじ茶にし、タンニンを多く含む緑茶や煎茶は食事中や直後を避け、食事から1時間ほど経ってから飲むようにすると良いでしょう。

◆食物繊維(きのこ類、根菜類など)
鉄分を取り込み、体の外へ排出してしまいます。鉄分摂取を意識したメニューの時には、食物繊維が豊富な食材は控えめにすると良いでしょう。

◆シュウ酸(葉菜類、玉露、紅茶、コーヒーなど)
鉄分と結合し、体の外へ排出してしまいます。ほうれん草、小松菜などの葉菜類は、茹でてシュウ酸を流出させ、動物性タンパク質のかつお節との組み合わせをおすすめします。食後のお茶は、食事から1時間ほど経ってから飲むようにしましょう。

◆リン酸塩(加工食品、スナック菓子、清涼飲料水など)
鉄分の吸収を阻害します。乳化剤、安定剤、防腐剤などとして含まれていますので、インスタント食品などリン酸塩を多く含む食品は控えましょう。